過去の作品集

H29year

題詠「木・樹木」 一般の部

最優秀賞
百年ののちに風吹く木よ育てまだ見ぬ君へカエデを植える

埼玉県 池田 恵津子

優秀賞
大木を抱き締めた時あたらしい愛が生まれたような気がした

岡山県 小橋 辰矢

俺もお前も流木だなあ割り箸をうまく割れない職に就けない

島根県 田村 穂隆

佳作
母百歳楠木二千六百歳うみのほとりの風に吹かるる

愛媛県 橋本 紀代子

地球ひとつ鷲掴みして大樹立つ千年ほどの時空を越えて

愛知県 斉藤 浩美

家も樹もあの坂道も抱きこんでダムの湖面に思い出ゆれる

大分県 阿部 悦子

八月の生家の門に入りしとき大樹のごとく父は待ちたる

香川県 増田 盛治

イケていた方の木村もそうじゃない木村も普通の大人になった

大阪府 野呂 裕樹

木刀に素振りの艶の深まりて予後の力はしづかに湧きぬ

大分県 坂井 清明

古代樹(こだいじゅ)をなぎ倒したる恐竜も今は静かに化石となりぬ

福岡県 中尾 勇人

木琴の上を弾んでゆくような雪解(ゆきげ)の君のとろいスキップ

北海道 斉藤 亜美

木であったころの記憶は薄れゆきわりばしの中のつまようじである

大分県 岡方 大輔

こころから鳴いているのか木の上の鴉のように不意にさみしい

大分県 檜垣 実生

題詠「木・樹木」高校生の部

最優秀賞
遅刻してきたオイカワの数式が樹海のように広がってゆく

聖ウルスラ学院英智高等学校 熊谷 友紀子

優秀賞
何もかもあの木の下に置いてきた君のマフラー私のミトン

早稲田佐賀高等学校 山口 安希

樹という漢字を見ると腹が立つどうしてあなたはいつもそうなの

大分県立大分西高等学校 後藤 寧音

佳作
孤独の身包む大樹と背を合わせ揺れる木漏れ日あなたをなぞる

早稲田佐賀高等学校 勝連 琉渡

十年後掘り起こそうね集まってタイムカプセル目印は大樹

早稲田佐賀高等学校 高井 麻衣

授業中窓際うとうとしていたら呼ばれてドキリ「針葉樹林」

大阪府立山田高等学校 伊丹 樹里

テスト前抱えた本が重すぎて木に戻ってるような気がする

大阪府立山田高等学校 大瀬良 りど

何百年も生き続けてきた大きな木が歴史の授業をしたらいいのに

神戸市立六甲アイランド高等学校 前田 一乃

題詠「木・樹木」小・中学生の部

最優秀賞
大きな木バット何本できるかなホームラン何本打てるかな

神戸市立糀台小学校 藤涛 英介

優秀賞
僕は今あの木のように立っているこれからもずっと育ち続ける

竹田市立緑ヶ丘中学校 倉田 圭

松の木はぼくへ雪玉投げてきて雪合戦をやりたいのかい

塩尻市立広陵中学校 藤森 深生

佳作
何も言わずまつぼっくりが落ちている何だか寂しいぼくと松の木

名取市立第二中学校 吉田 光輝

桜の木花がさいたらすごい木だ桜がちるとふつうの木になる

鳥取市立鹿野小学校 三谷 泰叶

家の前守ってくれるスギの木よその大量の葉偉大なりけり

竹田市立緑ヶ丘中学校 藤田 彩乃

春夏秋冬いつもいる通学路で一人ぼっち何でも相談にのってくれる木として人として

利府町立青山小学校 村上 愛桜

通学路色と匂いが変化する街路樹をただ皆勤で歩く

浦安市立浦安中学校 森山 ひかる

自由題 一般の部

最優秀賞
妹の義手に触れればひんやりと伝わるそれが彼女のぬくもり

新潟県 塚野 さやか

優秀賞
標識なく漁村の道は入り組みて父の愛せし船とつながる

愛媛県 檜垣 由美子

諍いのあと立ち寄りし公園のケヤキに語る樹木医のごと

神奈川県 深串 方彦

佳作
ふるさとは津波で流れてしまったが水と空気と訛が残り

岩手県 林本 五月

体中耳にしてきく風の私語しづかなる朝(あした)の太極拳

大阪府 近藤 和子

紅葉狩行者空飛ぶ山なれど吾はもくもく歩いて登る

千葉県 林 雅則

影すらも持たざる蜘蛛に怯えたり妻はこの夏死の淵にいて

徳島県 小畑 定弘

新しいシャツのにおいを嗅いで寝る ぶ厚くなったあなたの丘で

愛知県 加藤 洋志

ふくろふがホームセンターの片隅でじっと見てゐる人間たちを

宮城県 渋谷 史恵

おちゃわんという名のひびき愛らしくはじめて気づきうろたえて食う

東京都 中村 哲

「おめでとうございました」と過去形で話す子の持つ三年の過去

徳島県 吉友 寿恵

ふつつりと夢から醒めたやうにして塀だけ残つたおばあちやんの家

兵庫県 大江 美典

息をすることも忘れて話す子を我は息止めじっと見つめる

茨城県 芳山 三喜雄

自由題 高校生の部

最優秀賞・角川『短歌』編集部賞
祖母は鳥に、母は入院、そして僕。一つ一つ消えてゆくんだ。

今治精華高等学校 川又 郁人

優秀賞
サイレンが鳴ったら終わり微笑みという名の鍵をゆっくりしまう

福岡県立修猷館高等学校 雪吉 千春

時忘れボール追いかけふと止まる闇のコートに湯気立ち昇る

早稲田佐賀高等学校 宮崎 瞳子

佳作
大掃除ごみ捨て途中寒すぎてなぜか思った君に会いたい

早稲田佐賀高等学校 市丸 敦基

引退し初めて気づく顧問の声苦手だったがまた聞きたいと

大阪府立山田高等学校 荻 諒光

声聞くと涙溢れて止まらないあなたの声は魔法のようだ

愛知教育大学附属高等学校 堀内 純怜

会いたいな夢の中でまた君と鈴の音がなる雪降る夜に

大分県立大分西高等学校 大倉 颯生

そうだった君の書く字はこんなふうハートは少し傾いていた

浦和明の星女子高等学校 明石 望由

自由題 小・中学生の部

最優秀賞
お母さんおそくなる日は一人きりママのにおいのまくらでねむる

富山市立堀川南小学校 伊藤 澪

優秀賞
「笑笑」と送った自分見てみると口角ひとつゆがんでいない

竹田市立竹田南部中学校 阿南 智誉

ふたご座の流星群が流れゆく一人で見るか二人で見るか

竹田市立竹田南部中学校 堀 百花

佳作
さようならもりだくさんの畑ばあちゃんのおいしい野さいもソーラーにまけた

呉市立横路小学校 鈴木 咲瑛

愛犬の死にてふたたびみつめあう家族の絆尊く思う

北星学園女子中学校 野崎 理央

野球部が相手をにらみ試合する灼熱の日の暑さに負けず

大分市立稙田東中学校 田内 崇志朗

帰り道あの子と一緒にふざけあう響く笑いがやまびこしてる

竹田市立緑ヶ丘中学校 本田 彩華

家の犬好まぬ飯を出す度に「犬のエサかよ」という顔をする

大分市立稙田東中学校 柳生 桜花